単品のモノクロフィルムは高いので、ランニングコストを下げるために長巻から自分でフィルムを詰めてみることにしました。昔は写真を本腰入れてやる人は皆そうしていたようですが、周りに詳しい人もおらず道具もなかったので、自分で調べてなんとか作った過程を残しておきます。
なお、フィルムを詰めるためにフィルムローダーというものが必要になりますが、Lloyd'sのFilm Loaderが安かったです(それでも造りの割に5千円は高いけど。2020.7追記:現在は8,200円まで値上がりしてます。ネットオークションなどで入手した方が良さそう)。APなどのものは新品だと1万円以上します。
必要なもの
- 使用済みのフィルムカートリッジ(または市販の空カートリッジ)
- 長巻のフィルム
- フィルムローダー(ディロールともいう)
- ダークバッグまたは暗室
- テープ
- はさみ
下準備
フィルムローダーに長巻のフィルムを詰めます。この作業は全暗で行わなければならないので、ダークバッグか暗室が必要になります。
今回は通販で安く手に入ったFOMAのFOMAPAN 400を詰めてみます。1巻で7千円ちょっと、1巻からは19本ほどが作れるそうですから、1本あたり400円弱になる計算です。
2020.7追記:現在Silversaltでは8,050円(確認時品切れ中)、かわうそ商店では8,960円となっています。
この長巻は缶に入っていてテープで密封されており、さらにフィルムは黒い袋に入っています。
フィルムローダーに長巻を収める作業は手探りで行うことになるので、まずフィルムローダーを開けて内部の構造を確認しておくといいでしょう。単に長巻をフィルムローダーに収めるだけでなく、フィルムの端をフィルムローダーの排出口から少しだけ出しておく必要があります。フィルムの端切れなどを使って目をつぶって練習しておくといいかもしれません(練習しました)。Lloyd'sのフィルムローダーは、遮光のためにウレタン素材が排出口に貼り付けられていて、ここにフィルムを通すのに少々コツがいります。しかしAPのものなどよりは比較的単純な構造なので、それほど難しくはないと思います。
準備ができたら、まず長巻の缶のテープを剥がし、その缶とフィルムローダーをダークバッグに入れて閉じます。ダークバッグの中で缶を開け、袋から取り出しましょう。うまくいっていることを祈りながら手探りで長巻をフィルムローダーに収めます。ちゃんと収まったと確信したらしっかり蓋を閉じ、ダークバッグから取り出します。これで準備完了です。
フィルムを詰める
市販のフィルム装填用の空のカートリッジに詰めることもできますが、空のカートリッジが手に入らなかったので、フィルムの自家現像でできた使用済みのフィルムカートリッジを再利用することにしました。なおYoutubeで"bulk film loading"で検索すると、フィルム装填の実演映像がたくさん出てきて参考になります。これを踏まえて以下の方法でやってみました。
フィルムの幅の2倍程度の長さにテープを切ります。
これを長巻側のフィルムの裏側から半分だけ貼り付けます。
使用済みフィルムの端をテープの反対に置きます。
テープを折り返して表に巻きつけます。左側の端は一度折り返してタブ状にしておきます。こうしておくと現像でリールにフィルムを巻きつける時にテープを簡単に剥がせるので、ダークバッグの中ではさみを使う必要がなくなります。手探りではさみを使うの、緊張するんですよね。
カートリッジをフィルムローダーに収めます。フィルムを少しカートリッジに押し込んでおくとやりやすいです。
蓋を閉じ、ハンドルを挿入します。カートリッジの芯とハンドルの芯がかみ合うまで角度を変えつつ押し込む必要があります。このくらいまでハンドルが入ったらOKです。
フィルムローダーに貼ってあるシールに回転数と撮影枚数の表があるので、これに従ってカートリッジに入れたい分だけハンドルを回します。今回は10枚分だけ入れてみることにしたので13回転。36枚撮りにしたい場合は30回転ですね。
巻き終わったらハンドルを抜き、カートリッジを出して適当な長さでフィルムを切り離します。終端をはさみでカメラのスプールに巻き取りやすい形に整えて完成です。ついでに詰め込んだフィルム名を書いたテープを貼っておきました。
撮影後現像してみた
長巻をフィルムローダーに収めるのが少し難しいですが、それ以外はわりと簡単でした。現像してみたフィルムも特に問題なさそうです。FOMAPAN 400は粒状感は高いですがトーンの豊かさは悪くないと思います。たくさん使ってフィルムローダーの元を取らねば。
なおLloyd'sのフィルムローダーのハンドルですが、買ったままだと軸の先端のエッジが立っていて非常に差し込みづらいので、やすりで面取りしておくと使いやすくなります。あとネジの部分は回りづらいので油差しておくといいです。このへんの雑な作りがアメリカンテイストです。
2016.1.7 初出
2020.7.10 フィルムローダーと長巻のフィルムについて追記
はじめまして。
自宅にあったニコンF2を整備して、最近またフイルムでの撮影を楽しんでいます。
学生時代に買ったデイロールや空のパトローネ、現像タンクなども押入れから探し出し、長巻フイルムを買いに大型店に行ったところ・・・恐ろしい価格になっていて驚きました。
海外通販ではいろいろとまだフイルムや現像用品も手に入るようで、私も購入しようかと思っています。
フォマパンのフイルムが気になっているのですが、なかなかよさそうですね。
実際に使われみて、いかがでしょう。
海外製のフイルムは、以前手にした中国か韓国のものカーリングがひどく、それ以来使っていないんです。
扱いやすいフイルムなら、一度購入しようかと思いますが、なかなかWEBでも情報がありませんので・・・
よろしければ、印象を教えていただければ助かります。
よろしくお願いします。
HIRO-KOさん、はじめまして。コメントありがとうございます。フィルムの写真は手間がかかりますが楽しいですね。でもフィルムも印画紙も高いんですよねー。
FOMAPAN 400について、現状まだフィルムスキャンの結果しかわかりませんが、今のところトーンはあるけど結構粒子が粗いなぁ、という印象です。でもまだフィルム現像に慣れてないので、もしかしたら単に現像過多なのかもしれません(24℃で5分でした)。カーリングは同時期に現像したILFORDのフィルムよりはきつかったですけど、扱いづらいという程ではないですね。年末に小旅行して4本ほど使ってみたので、後日大きく見られる形で記事にしようと思ってます。
今回使用した現像液はKodakのT-MAXなんですが、Silversaltの説明によるとアドックスのアトマル49という現像液で現像するのがベストのようなので、今度試してみるつもりです。
FOMAPANシリーズはSilversaltで単品でも比較的安く手に入るので、まずはこちらで試してみるといいかもしれません。ご参考まで。
http://www.silversalt.jp/index.php?main_page=index&cPath=1_2