英語、難しいですね。基本的に何言ってんだって感じですよね。日本人にとって、英語学習と言うのはもはや永遠の課題と言ってもいいのかもしれません。義務教育を含めて何年もの学習期間があり、これだけ多くの英語学習教材が世に溢れていながらも、ほんのわずかの人しか流暢に話せるようになれないのは何故なのでしょうか。

学生時代の英語の成績は下から数えた方が早かった筆者が、まがりなりにも単身海外を旅して、旅先で出会った人々と気軽に会話し、ネイティブと文通できる程度になるまでどのように英語を学んで来たかを、この記事ではまとめたいと思います。英語の技術的な事柄ではなく、どちらかというと語学学習の心構えという点にフォーカスしています。

なお、この記事は、厳密な目標のために勉強する方向けというよりはむしろ、映画を字幕無しで観れるようになりたいとか、お気に入りの作家の小説の原作を読めるようになりたいとか、海外の友達と自然にやりとりできるようになりたいといった方、つまり人生のお供として英語を身に付けたい、という人に向けて書いています。いついつまでにこれくらいのレベルの英語を身に付けねばならない、という具体的な目標がある方にはあまり向きません。そういう方は、目標を正確に定め、細分化し、スケジュールを設定して順次厳密に実行していく必要があるでしょう。

1. 気長にやる

私の英語学習の根本にある戦略は「学び続けていれば、いつかは身に付くだろう」という気長な姿勢です。

何かに挫折する、というのはどういうことなのでしょうか。それは「意欲が無くなった」とか、「望んだ結果が得られなかった」、つまりある期間に自分の技術が期待していたレベルに達せず、落胆し、続けられなくなってしまった、ということだと思います。私にも身に覚えがありますが、少しは自信があった事が、自分が思っていた程の水準には達していなかった、ということを目の前に突きつけられるのはとても辛いことです。

しかしここで疑問なのは、なぜ特定の期間で学んだ技術が、必ず自分が思った以上の成果を上げると期待してしまうのか、という事です。もちろん学生や特定の資格を得るために勉強している社会人の方であれば、目標の達成が何より重要ですから、ある期間で望んだ成果が得られるよう努力するのは必然です。しかし私達は違います。英語ができないからといって、お金を失うわけでも、誰かに怒られるわけでもありません。ただ、いつかは英語を身に付けたい、と願っているだけです。英語を学ぶ時間はたっぷりあるのです。

私が言いたいのは、英語を身につけることを諦める必要はない、ということです。諦めてしまった時、歩みは止まります。ほんの少しずつでも歩み続けていれば、必ず遠くまで行けるのです。才能も努力も要りません。ただ続けるだけで良いのです。歩み続けましょう。

2. 学ぶことを楽しむ

とは言え、やっていて楽しくないことを続けるのは誰にとっても難しいことでしょう。学ぶ過程の中に楽しみを見出せなければ、余程の理由がない限りモチベーションを維持するのは至難の技です。気力とか、根性でなんとかしようと思わないことです。英語を学ぶのに、生死に関わる理由を持たない私達にとって、「やってて楽しい」というのはとても重要な要素です。英語を学ぶことを趣味にしましょう。これはとてもやりがいがあり、コツコツ時間をかけて生涯学び続ける価値がある趣味です。それに「英語が趣味」だなんて、なんだかかっこいいと思いませんか。

では、何を楽しめば良いのでしょうか。私が入り口としてお勧めするのは、洋書を読むことです。英語の本を読むだなんて、ハードルが高いと思うことでしょう。しかし洋書には英語初学者向けに、Graded readers というレベル別に分けられた書籍のシリーズが用意されているので、自分のレベルに合ったものを読めば良いのです。洋書を読むことについては、後日別の記事にまとめたいと思います。

日本語で「勉強」と言うと、受験勉強とか、学校で良い成績を取るために頑張ることとか、ともするとややネガティブな印象がつきまといます。しかし私達がするのは受け身の study ではなく、自分から learn することです。勉強のための勉強をするのではなく、何かを成し遂げたいから学んでいるはずで、そこに期日はありません。英語を学ぶことは、英語圏の文化を学ぶことでもあります。言い回しの妙や、考え方の違いなど、道の途上には様々な発見があるはずです。過程を楽しみましょう。

3. 完璧を求めない

私にとって語学学習の転換点となった、あるプレゼンがあります。言語学者のクリス・ロンズデール氏による「どんな外国語でも半年でマスターしてしまう方法」というプレゼンです。

動画は日本語字幕を選択できます。「講演中に彼が心臓発作で倒れやしないかとハラハラしながら見た」というコメントがありましたが、それくらい熱意あふれる、人柄の伝わる楽しいプレゼンです。ここでは語学学習において重要なことが多く語られていますが、私が特に感銘を受け、その後の学習姿勢を変えるきっかけとなったのは、以下の部分です。

不完全なことに対する寛容が必要です。
100%理解しないと気が済まないというタイプなら、外国語を聞くのは耐え難いものでしょう。
完璧に理解できないことに、始終苛立つことになるからです。
逆に、わからないところがあっても気にせず、わかる部分に注意を傾けるなら、リラックスして速やかに学べるでしょう。

私はまさにこのタイプでした。自分のリスニング力から逸脱しているレベルの英語に挑戦しては、さっぱり聴き取れないことに打ちのめされ、自分はなんてダメなんだ、こんなに勉強してきて未だに聞き取れない、自分には才能がないんじゃないか、と落胆してばかりいました。ただ、自分の問題が語学学習の方法ではなく、何か心の持ち様にあるんじゃないか、と思って参考になりそうな物を探していた時に見つけたのがこのプレゼンでした。

外国語を学ぶ者にとって、外国語が不完全であることはごく当たり前のことです。ロンズデール氏の言う通り、「赤ん坊と同じ」状態であり、読めなくて当たり前、聴けなくて当たり前です。高い目標を持つことは美徳とされますが、高すぎる目標は挫折の原因となり得ます。

不完全で良いのです。わかったことを喜びましょう。全然わからなかったら、それはまだ自分のレベルに合ってなかったというだけです。気にせず、レベルを変えてみましょう。

ちなみに、いくら簡単な英語であったとしても、自分の知識の範疇外の事柄を理解するのは非常に難しいものです。例えば日本語でも、専門用語だらけの技術書などは何が書いてあるのかさっぱりわかりませんよね?逆に言えば、自分の得意な分野であれば、多少難しい英語でも理解しやすいものです。何が書いてあるのか、おおよその予想がつくからです。

以上、私の英語学習法(心構え編)でした。私もまだまだ勉強の途上ですが、参考になれば幸いです。一緒に楽しんで学んでいきましょう。